2014年7月句会報

句会報の一部を紹介します。

世の中の空白を追ふ素足かな
大森健司
生き下手と言はれ短夜灯しけり
夏目華絵子
青葉木菟足りなき夜の扉をひらく

梶田紘子
夏服の濡れて残りし白さかな
菅城昌三
離れては近づく夜のボートかな
西川輝美
夢に酔ひ向日葵に醒め旅の宿
速水房男
時満ちて橋なき橋を渡りけり
西尾ゆう子
説教によいし神父や夏のミサ
野村幸男
麦飯や時とともにて役変わる
前田壽登
再びに暑き下界の虚空かな
渡辺新次郎
水や遠くに夜を置いてくる
高木憂
我が夫は化け物なりき夏の夜
野村美穂子
夕焼けしてベンチに人の恋しかり
古田左千夫
つけたしの言葉に崩る氷菓かな
中原恵美
君の横つきぬ話に朝焼くる
余力端美
通り雨あっという間に空青し
荒木克彦
涼しげに老いたる人の夕べかな
片山えつみ

夢に酔ひ向日葵に醒め旅の宿
速水房男
この句は作者を知り、驚いた。
非常に作品のレヴェルが上がっている。
向日葵の例句としては、
向日葵に剣のごときレールかな
松本たかし
向日葵や信長の首斬り落とす
角川春樹
がある。
しかし、向日葵に醒めた、という例句、類想は見たことがない。
作者の意識、措辞に感銘した。旅の宿というおさまりも良い。
頭でこねくり回した俳句には何の魅力もない。
素直に自然を受け入れる心が大切。

時満ちて橋なき橋を渡りけり
西尾ゆう子
これはご覧の通り、無季俳句である。
しかし、上五の、時満ちて、橋なき橋を渡るという感性に感嘆した。
橋というのはひとつのメタファーでもあるが、この一句の時満ちてには「ハレ」、橋なき橋には「ケ」を感じざるを得ないのである。
橋なき橋の想像は読者に委ねられる。
僕は橋に本人の意識以上にアニメーションのような天の川への見えない橋をイメージした。

説教によいし神父や夏のミサ
野村幸男
この句は非常に皮肉が効いていて、ウィットのある一句に仕上がっている。
神父が日曜日のミサであろう自分の説教に次第に酔いしれてゆく。
目の付け所が面白い。
映像の復元もなされていて、目に浮かぶようである。
ウィットはウィズダム=知識、に由来する。

麦飯や時とともにて役変わる
前田壽登
これは誰もが共感できる一句。
麦飯の季語が非常に効いている。
誕生する。子が青年となり、父となる。そしてやがて死を迎える。
またこの役は人間と限定しなくとも面白い。
自然界全てに置き換えられる。諸行無常である。
自然界は常になにかを発信し続けている。それを受信できるか否かは、人間次第なのである。

中上健次は、
句座とは感性の斬り合いの場である
と言った。
今、実際にそういった句会は少ない。今後、俳句という日本文化が残っていくためには、本物であり続けること。と、一般化させるといった両面が必要になってくる。
もはやこれまでの俳句論は現代には通用しないといってよい。
新たな強い意思と俳句の捉え方を変えない限り衰退するばかりである。

俳句は面白い。
非常にシンプルだ。
Simple is Best!

大森健司
にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ
にほんブログ村
スポンサーサイト
プロフィール

kenjiomori

Author:kenjiomori
俳句結社「森」主宰、大森健司のブログ★受賞多数。
お気軽に覗いて下さい。
お問い合わせは「森」ホームページ にて。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR