2014年11月句会報

句会報の一部を紹介します。


冬満月個体はなべて喰はれけり

大森健司

色のなき絵本に少女の棲みし冬

西川輝美

枯園やかへりみる日の雨やさし

梶田紘子

空も木も鳥も枯野に呼吸をする

西尾ゆう子

冬林檎紙一枚と交換す

菅城昌三

赤紅葉照りて般若の現われり

渡辺新次郎

内視鏡奥へ奥へとレノンの忌

速水房男

悴む手いつもの駅で別れけり

中原恵美

重なりぬことば落ち葉を掃くやうに

古田左千夫

雲の上に雲の流れる師走かな

高木憂

天にらみ燃える夕映え青不動

野村幸男

新米のゆげに包まれ足るを知る

野村美穂子

秋麗青と緑と黄と赤と

余力端美

好球に紺碧の空海笑ふ

荒木克彦


凍鶴の恋のはじめは身をそらす

大森理恵




色のなき絵本に少女の棲みし冬

西川輝美

他にも、

こわれさうな心時雨を帰りけり

狼や身のあちこちに死角あり

ブレーカーばつさり落ちて師走かな


など佳吟があるが、

この句が秀でて良い。

モノクロームの世界である。

俳句というよりも、一行の詩。

最近の西川輝美の中では特に採り上げるべき傑作。

俳句は一行の詩である。

現代はいかにも俳句らしい俳句が多すぎてつまらない。

西川輝美は自分の言葉で、心情を吐露している。

それも、不安定な心情である。

寂寥感に満ちた素晴らしい表現。

まるで一枚の絵画。

一冊の小説を読み終えた衝動を受けた一句である。



空も木も鳥も枯野に呼吸(いき)をする

西尾ゆう子

こういった枯野の季語の使い方は見たことがない。

類想はあるのかも、しれないが、僕は新鮮さと伸び伸びとしたこの句に惹かれた。

もちろん特選で採った。

他にも、

伸びてゆくこころのままに冬薔薇

銀杏落葉ちいさき嘘をかさねあふ

窓あけてこころに冬を吸いこめり


等、あるが、枯野の句がすば抜けて良い。

触発されて次の一句を創った。

空も木も水も息して波郷の忌

大森健司


雲の上に雲の流れる師走かな

高木憂

非常に平明な一句。

衒いがなく、映像の復元がなされる。

雲の上に雲が流れる空。

師走で忙しない地上。

そのコントラストが佳吟である。

言葉を飾らない、ことは非常に重要なこと。

これはいつも根底をおいている。

あと、デッサンの出来ていない個性は僕は個性とは呼ばない。

ただ奇を衒っているだけである。

大切なのは基礎。

また、平明で、自分の言葉であることである。

大森健司
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