2014年1月句会報

句会報の一部を紹介します。

雪の音や少女の底に森がある
大森健司
人日や残り時間のなき映画
夏目華絵子
去年今年夢の隙間に暮らしけり
菅城昌三
くれないに雲ちぎれをり花八つ手
西川輝美
冴え渡る月も阿弥陀も腕の中
野村美穂子
外套や父の背いつも畏れあり
梶田紘子
初あかり吾のゆく末誰ぞ知る
森千花
少しづつ人の変わりて干菜風呂
西尾ゆう子
初雪や足跡残す白うさぎ
前田壽登
明けきらぬ湖は紺色二日かな
速水房男
ひとりゐのとうとう雨の冬至かな
秋山しづ子
人日や人も電車も揺れてゐる
古田左千夫
ぽつぽつと詩をついばみし寒鴉
高木憂
しづけさのいづこも寒の北斗かな
中原恵美
大原へ青果求めて年を越す
野村幸男
終業の扉の響きみぞれ降る
荒木克彦

今月は特別に我妻広明博士の選評を紹介したい。素晴らしい選評。俳句は受け取る側の自由なので、僕の真意は述べないが、是非読んで頂きたい。

雪の音や少女の底に森がある

雪深い森の中に静かに佇む少女の姿が見えます。新雪と区別がつかない真っ白いダッフルコートに身を包み、深めのフードをすっぽりと被ったその少女は、顔はよく見えないのに、目だけはしっかりとこちらを見ていることがわかります。じぃっとこちらを見つめ続けていて、そのまま時が止まって永遠が続くかと思ったその瞬間、少女は踵を返して森の奥に戻って行きます。少女が向こうを向いてしまうと、その姿がすっかり森の中の雪の景色に溶け込んでしまって、もうどこにいるのかわかりません。少女が居た辺りを目を凝らして探すのですが、また深々と雪が降ってきて、もう見つけることができません。そのうち、少女は本当に居たのか、錯覚だったのか、森のウサギの赤い眼が少女に見えただけなのか、あるいは、そもそも自分が森の入り口に立っていることすら少女の幻覚に囚われただけなのか、わからなくなってきます。考えていると、もう事実はどうでもよくなって、少女が居たと思った自分自身を信じることに決めます。そして、自分も踵を返して森を後にします。深い雪の中、一歩一歩、柔らかい新雪に足を取られながら歩き始めます。そのうちに、少し自分の中でおかしみがこみ上げてきて、いつの間にか自分が笑っていることに気がついて、なんだか不思議な気持ちがします。
こんな情景が見えました。素人の無知なコメントで恐縮ですが「ノルウェーの森」に通じるものがあるような気がしました。更なる森の中が見てみたい気がします。次回作、楽しみにしています。
【選評・我妻広明准教授】

大森健司

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